INTERVIEW04

SPECIAL INTERVIEW

収録:2026年10月9日/オンライン

対談『在庫を持たずに、ブランドを育てる。』バナー。左から山田英之(株式会社カレント 代表取締役)、求 倩(キュウ セイ/中国輸入通株式会社 China CFO)、求思絨(キュウ シジュウ/中国輸入通株式会社 China CEO)

在庫を持たずに、
ブランドを育てる。

輸入通 × CAXUL

求 倩(キュウ セイ) × 求思絨(キュウ シジュウ) × 山田英之

中国無在庫アパレルECの現場から、商品・検品・物流、そして杭州から見える「次の仕入れ」へ。

OUR GUEST

求 倩

キュウ セイ

中国輸入通株式会社
China CFO

求思絨

キュウ シジュウ

中国輸入通株式会社
China CEO

山田英之

HIDEYUKI YAMADA

株式会社カレント
代表取締役

CAXULは、CASUALとLUXURYを掛け合わせた大人女性向けのセレクトショップとして、海外から商品を取り寄せ、検品後に日本の顧客へ届ける無在庫型のECを運営している。

事業が小さいうちは、「商品が売れること」が何より重要だった。ところが、売上が増え、客単価が上がり、リピーターが増えると、商品ページの表側よりも、調達、検品、梱包、送料、出荷速度、問い合わせ対応といった“裏側”の品質がブランドそのものを左右し始める。

今回は、CAXULを運営する山田と、仕入れ・物流を支える輸入通のセイさん、シジュウさんが、実際の運営を振り返りながら話した。CAXULの立ち上げ、輸入代行会社を見直した理由、輸入通と組んで変わったこと。そして話は、淘宝(Taobao)・1688への依存、現地市場や工場への仕入れ先拡大、API連携、さらに杭州という街のEC・ライブコマース・ものづくりへと広がっていった。

01

CAXULは、小さな無在庫ECから始まった

Facebookのトラブルから、新しいEC事業へ

山田

CAXULの話をする前に、その少し前から話した方が分かりやすいと思います。もともとカレントではDeRossiというECを運営していました。フィットネスウェアから始まって、今はランジェリーを中心に扱っているショップです。

そのDeRossiを運営している時にFacebookアカウントの乗っ取りに遭って、関連する環境が使えなくなったことがありました。Meta側にも相談しましたが復旧が難しく、結局アカウント環境を作り直すことになった。そのとき、FacebookやMetaのトラブル対応をしているフリーのアドバイザーの方に助けてもらったんです。

その方と話すうちに、「中国からの商品を無在庫で販売するレディースECがある。もう一店舗やってみませんか」という話になった。そこで一つの事業を譲り受けたのがCAXULです。名前もそのまま引き継ぎました。

当時は20代女性向けのワンピースが中心のショップで、2024年2月頃から運営を始めています。本格的に商品を入れ替えたり、ショップを整えたりしたのは4月頃からでした。

7,000〜8,000円の商品から、少しずつ単価を上げる

山田

最初によく動いたのは、伸縮性のあるニット系や、身体のラインがきれいに見えるロングワンピースでした。価格は7,000〜8,000円くらいから始めています。

当時はMeta広告も手探りでした。「いくら広告をかければ、いくら売れるのか」「利益はどれくらい残るのか」という構造も、まだ十分には分かっていなかった。まずは売れるものを見つけよう、という感じでした。

やっているうちに、少しずつ顧客層も変わってきました。ワンピースを中心にしながら、トップス、ボトムスへ広げて、1万円、1万5,000円、1万9,000円という商品も扱うようになった。複数点まとめて購入してくださる方も出てきて、客単価も売上も上がっていきました。

広告運用も、売りながら覚えていきました。商品を選び、広告を出し、反応を見る。そこでまた商品を変える。その繰り返しです。

CAXULの商品イメージ。ワンピースからトップスなどへ、取り扱いを広げている。
CAXULの商品イメージ。ワンピースからトップスなどへ、取り扱いを広げている。
CAXULの商品イメージ。ワンピースからトップスなどへ、取り扱いを広げている。
CAXULの商品イメージ。ワンピースからトップスなどへ、取り扱いを広げている。

02

売れるほど、物流の「見えない部分」が問題になる

高単価になると、梱包もブランドの一部になる

山田

売れる数が増えて、価格も上がってくると、最初は気にならなかったことが気になるようになります。梱包、ブランド表記、問い合わせ、不良品対応。ECサイトの画面には出ない部分です。

無在庫販売はシステムでかなり効率化できます。ただ、システムに合わせて運用していると、「これはできるけれど、これはできない」という制約も出てくる。売上が小さい時はそれでも回るけれど、件数が増えると細かな不便が積み重なっていきます。

例えば梱包です。海外発送用のグレーの袋に商品がそのまま入って届く。それが7,000円の商品ならまだしも、2万円、3万円の商品を扱い、まとめて5万円、6万円買っていただくお客様が出てくると、「この状態で届いていいのだろうか」と思うようになりました。

そこで黒い緩衝材付きの袋を使ったり、ロゴを入れたり、少しずつ改善を始めた。商品そのものだけでなく、届いた瞬間に「ちゃんとしている」と感じてもらうことが重要になったんです。

イレギュラー対応で分かった、システムの限界

山田

以前の代行会社で、中国国内のA地点からB地点へ商品を送る必要があったことがあります。その会社のシステムは、中国から日本へ発送することを前提に作られていたため、中国国内配送の費用を適切に設定する項目がなかった。

結果として、後から見ると想定以上の送料がかかっていた。イレギュラーなことを頼むと、既存の仕組みの外に出てしまう。そこで初めて、「効率的なシステム」と「個別対応」は別の問題なんだと実感しました。

キュウ セイ

費用については、私たちもかなり大切にしています。追加で発生する可能性がある費用は、できるだけ事前に説明する。システム上でも、「何に対して、いくらかかっているのか」が分かる状態にすることが大事です。

山田

まさにそこです。費用そのものより、後から「これは何の費用だろう」となる方が困る。扱う商品ややり方が増えるほど、イレギュラーは必ず出てきます。そのときに、どこまで相談できるかが大きい。

「一社だけに任せる必要はない」と考えた

山田

以前は一社の代行会社と仕事をしながら、無在庫ECの実務を覚えていきました。ただ、件数が増えるにつれて、コミュニケーションのズレや、費用、個別対応の難しさが見えてきた。

そこで「一社だけである必要はない」と考えて、複数の会社を調べるようになりました。BASEと連携できる会社も含めて、他社はどんな仕組みなのか、どこまで対応できるのかを比較するようになったんです。

BASEが開催するEC事業者向けのイベントに参加したときも、無在庫販売をしている方たちの間で「どの代行会社と組めばいいのか」はよく話題になっていました。システム連携できる会社が限られている中で、実際には皆さんかなり悩んでいるんだと思います。

03

一度は見送った輸入通と、もう一度組む

最初の無料体験では、契約に至らなかった

キュウ セイ

最初にCAXULさんに輸入通を使っていただいたのは、2025年頃だったと思います。一か月の無料体験をしていただきました。ただ当時は、私たちのシステム側で連携できるEC環境に限りがあって、CAXULさんの運用と完全には合わなかった。そのため、無料体験の後は契約にはなりませんでした。

山田

そうでしたね。一度試したけれど、その時点では今の運用には合わなかった。

キュウ セイ

私たちも、その経験から「システムをもっと改善しないといけない」と感じました。

数か月後、「もう一度話しませんか」と連絡した

キュウ セイ

その後、10月か11月頃だったと思います。私が中国にいて、シジュウも一緒にいた時に、山田さんから「もう一度話せませんか」と連絡をいただいた。三人でオンラインミーティングをしたのは、その時が最初だったと思います。

その時、CAXULさんから「もっと丁寧に対応してもらえるサービスはないか」という相談がありました。私たちはシステムも大切にしていますが、お客様ごとに大切にしていることは違います。CAXULさんがブランドとして何を重視しているかを聞いたうえで、「それなら私たちなら対応できる」と思いました。

山田

僕からすると、そこで「システムに合わせてください」ではなく、「何を実現したいのか」を聞いてもらえたのが大きかったですね。

キュウ セイ

同じ無在庫販売でも、ブランドによって必要な対応は違います。全員に同じサービスを当てはめるのではなく、その違いをできるだけ拾いたいと思っています。

輸入通の業務全体像。仕入れ、品質管理、物流・在庫、システム連携、カスタマーサポートを一つの流れで支援する。/輸入通会社紹介資料より
輸入通の業務全体像。仕入れ、品質管理、物流・在庫、システム連携、カスタマーサポートを一つの流れで支援する。/輸入通会社紹介資料より
輸入通の業務全体像。仕入れ、品質管理、物流・在庫、システム連携、カスタマーサポートを一つの流れで支援する。/輸入通会社紹介資料より

04

みんなが同じ1688・淘宝を見ると、同じ商品になる

無在庫ECの「商品が似てくる」問題

山田

シジュウさんから見て、今の無在庫販売にはどんな課題がありますか。

キュウ シジュウ

日本のお客様が中国から商品を探す時、淘宝や1688を使うケースがとても多いです。ただ、同じプラットフォームを多くの事業者が見ているので、同じ商品を複数のショップが販売することが増えます。

特に淘宝は一般消費者向けの商品も多いので、卸価格として必ずしも最安とは限りません。それでも商品数が多く、探しやすいので、皆さん同じところを見てしまう。結果として、商品のラインナップが似てきます。

キュウ セイ

そうすると、最後は価格勝負になりやすいんです。自社のブランドを作ろうとしても、他店と同じ商品が並んでいると差別化が難しい。最近はアパレルだけでなく、アクセサリー、靴、バッグ、雑貨などへカテゴリーを広げるお客様も増えています。

山田

CAXULでも、結局一番大きな仕事は商品リサーチなんです。集客と商品リサーチが両輪です。広告をどれだけ工夫しても、最後は「何を売るか」が大きい。

自社サイトだけでなく、Amazon、メルカリなど販売先はいろいろあります。完全な無在庫でやるのか、売れる商品だけ一定数買い取るのかも違う。個人で小さく始める方も多いので、最初から大量在庫を持たないことは合理的です。ただ、在庫リスクを下げられる分、商品を見つける力がより重要になります。

淘宝(左)と1688(右)のサイト画面。
淘宝(左)と1688(右)のサイト画面。
淘宝(左)と1688(右)のサイト画面。

05

「市場・工場・デザイナー」へ。仕入れ先を広げる

1688だけに依存しない仕入れをつくる

キュウ シジュウ

だから今後、輸入通としてもっと改善したいのは、お客様のニーズを聞いて、こちらから商品を提案できる仕組みです。1688だけに依存するのではなく、中国国内の卸売市場、工場、デザイナーの事務所など、もっと幅広い仕入れ先とのネットワークを作りたい。

キュウ セイ

私たちの強みは、中国のどの地域に、どんな市場や商品があるのかを現地で見られることです。日本から画面だけで探すのとは違う。現地にいるからこそ、仕入れ先そのものを広げられると思っています。

山田

それはEC事業者にとってすごく大きいと思います。売れる商品を探すことに、ものすごく時間を使うからです。今まで見えていなかった商品にアクセスできるなら、それだけで差別化になる。

「市場」は、日本の朝市とは少し違う

山田

ただ、「市場」と言われると、日本では朝市みたいなものを想像してしまうんですよね。安いものが山積みになっている場所、という感じで。高品質な商品やブランドの話と、僕の中でまだ結びつかない。

キュウ シジュウ

感覚としては、韓国の東大門に近いです。アパレルの店舗や卸売が集積していて、そこから商品を選び、自分の店舗や淘宝で販売している事業者もいます。

キュウ セイ

市場にもウェブサイトがあるところがあって、オンラインの商品情報と現地の商品がつながっています。私たちのスタッフが現地へ直接行って商品を見ることもできます。

山田

そういうことならイメージしやすいですね。単に「安く仕入れる場所」ではなく、ネットだけでは見つからない商品や、より品質の高い商品を探せる場所ということですね。

キュウ セイ

そうです。今後はアパレル以外の市場も調査したいと思っています。例えば家具やインテリアは、工場が集まっている場所がアパレルとは別にあります。実際に現地へ行って、どんな商品を、どの条件で仕入れられるのか、仕入れルートまで調べたい。

山田

インテリアも面白いと思います。CAXULのようなEC運営で培った仕組みを、別カテゴリーへ広げられる可能性がありますから。

06

仕入れサイトが止まれば、事業も止まる。APIとシステムの話

淘宝に入れない。それだけで仕事が止まる

山田

商品リサーチをしていると、淘宝に急にアクセスできなくなることがあります。何度も見ているとアクセス制限がかかったり、ログインで止まったりする。過去にはアカウントを取り直したこともあります。

キュウ シジュウ

同じ相談は他のお客様からもあります。「淘宝にログインできない。これでは事業ができない」という声です。一つの仕入れサイトだけに依存すると、そのサイトに入れなくなった時に事業そのものが止まってしまいます。

キュウ セイ

原因が分かりにくいのも問題なんです。エンジニアに聞いても、なぜ止まったのか明確に分からないケースがある。毎日の商品リサーチに使う人ほどストレスになります。

山田

商売が大きくなるほど怖いですよね。一本の線が切れただけで全部止まる。だから仕入れ先の分散と、アクセス手段の安定化は重要だと思います。

APIで、仕入れ先を輸入通のシステムにつなぐ

キュウ シジュウ

輸入通では、淘宝や1688とのAPI連携を進めています。商品情報を輸入通のシステム側でも扱えるようにして、お客様が仕入れ商品を探しやすい環境にしたい。さらに他の仕入れ市場についてもAPI連携を準備しています。

山田

となると輸入通は淘宝や1688のオフィシャルパートナーみたいになるんですね、それは心強いですね。タオバオにログインできなくなるトラブルに相談や対応できるようになるといいですね。

キュウ セイ

そうなんです、また仕入れ先が増えても、管理画面がバラバラでは使いにくい。輸入通側で注文、仕入れ、検品、物流、費用まで一つの流れとして見られるようにしたいと考えています。

山田

それが実現するとかなり大きいですよね。EC事業者からすれば、「どこから仕入れるか」と「どう管理するか」が一つにつながる。

輸入通システムの注文詳細画面。商品情報、仕入れ・物流の進捗、注文に関する問い合わせ等を確認できる。/輸入通システム紹介動画より
輸入通システムの注文詳細画面。商品情報、仕入れ・物流の進捗、注文に関する問い合わせ等を確認できる。/輸入通システム紹介動画より
輸入通のシステム連携・情報管理を示した図。
輸入通のシステム連携・情報管理を示した図。

07

「安い」だけではブランドにならない

CAXULが求めるのは、「日本で高く買っていただける商品」

山田

無在庫ECというと、「中国から安く仕入れて売る」というイメージが強いと思います。でもCAXULを続けていると、安ければいいわけではないと感じます。

価格が少し高くても、品質が良く、縫製や仕上げが丁寧で、ハンガー、タグ、袋まできちんとしている商品の方が、お客様にとって満足度が高い。日本である程度の価格で買っていただき、また次も買っていただく。その方がCAXULの方向性には合っています。

キュウ セイ

価格と品質は、やはりある程度比例します。市場でも工場でも、価格だけを下げれば同じ品質を維持できるわけではありません。

山田

韓国ブランドも、以前は「安い」というイメージが強かったのに、今は日本のブランドと同じような価格帯でも支持されていますよね。K-POPやエンターテインメントの影響もあるでしょうし、グローバルブランドのアンバサダーを韓国のスターが務めることで、国全体のファッションイメージも変わった。

中国の商品やブランドも、これから同じようなことが起きる可能性があると思うんです。3年後くらいを見据えれば、CAXULで扱う中国ブランドの中から、日本でブランドとして評価されるものが出てきてもおかしくない。

キュウ シジュウ

中国側でも、品質の良い商品やブランドは増えています。だからこそ、安い商品を探すだけではなく、いい商品を見つけて届ける仕組みが必要だと思います。

08

出荷、検品動画、Chatwork。CAXULが輸入通を選ぶ理由

一番分かりやすい違いは、「出荷が早い」こと

山田

ここからは、実際に輸入通さんと仕事をして感じていることを話したいと思います。一番分かりやすいのは、出荷が早いことです。

他社も含めて比較するため、同じような商品を複数の代行会社に頼んで、どれくらいで届くか見たことがあります。中には3週間以上たっても届かない、連絡も来ない、気づけば一か月近くたっている、というケースもありました。

輸入通さんは、そこが速い。商品を売っている側にとって、配送が遅いことはそのままお客様の不満になるので、これは非常に大きいです。

キュウ セイ

ありがとうございます。出荷スピードは、現場でもかなり意識しています。

「仕事が丁寧」が、日々の安心につながる

山田

もう一つは、日常の仕事が丁寧なことです。担当の方とのChatworkのやり取りも、どの商品が今どうなっているのかが分かりやすい。連絡が正確なので、「今どうなっているんだろう」と不安になることがほとんどありません。

日本語ができるスタッフの方も多くて、細かなニュアンスまで伝わりやすい。単に日本語を翻訳できるということではなく、日本側の商習慣や仕事の進め方を理解している人が多いという印象があります。

「これはできません」で終わらず、「では、こうならできます」と考えてもらえる。そういうやり取りは、毎日仕事をしていると大きいんです。

検品動画が、顧客対応の「証拠」になる

山田

検品動画もすごく良いです。ECをやっていると、「注文した商品と違う」「破損していた」という問い合わせが一定数あります。もちろん本当に不良の場合もありますし、お客様の認識違いの場合もあります。

その時、発送前の検品動画があれば、「この商品を、この状態で入れた」ということを確認できる。以前、商品だけでなく箱も壊れていたという問い合わせがありましたが、発送時点の状態を確認できたので、どこで問題が起きたのかを考えやすかった。

こちらに記録がなければ、お客様へ説明することもできません。検品動画は、単なる作業記録ではなく、顧客対応の品質にもつながっています。

匂いの指摘に、消臭剤を入れてもらった

山田

梱包オプションが多く、個別対応をしてもらえる点も大きいです。

アパレルは、素材や染料、製造工程、輸送環境によって独特の匂いが出ることがあります。過去にお客様から「開けた時に匂いが気になった」という声をいただいたことがあった。そこで輸入通さんに相談し、消臭剤を同梱する対応をしてもらいました。

それで匂いが完全になくなるかだけではなく、「そこまで考えて梱包している」ということ自体が、お客様の安心につながると思っています。

1万円を超える商品を買って、袋を開けた瞬間に「ちゃんとしている」と思えるかどうか。そこはリピートに影響します。CAXULではリピート率が40%を超えていて、15回以上購入してくださる方や、一か月に3回購入される方もいる。だから、届くたびに少しずつ体験を良くしたいんです。

今後は商品を入れる内袋も、もっとデザインされたものに変えていくタイミングが来ると思っています。

月1回のオンライン定例会

山田

そして、毎月オンラインで定例会をしていただいているのも非常に助かっています。仕入れ代行会社と定例会をするというのは、意外と当たり前ではない。

仕入れと物流はECの根幹なので、ここに不安がないことが重要です。出荷が早い、仕事が丁寧、検品動画がある、Chatworkが分かりやすい、日本語対応ができる、こちらの仕事の感覚を理解してくれる、梱包オプションが多い、個別対応ができる、定例会がある。こうしたことが一つずつ積み重なって、今は安心してお願いできています。

日本営業担当、中国実務担当、専用Chatwork、月1回の定例ミーティングなどを組み合わせたサポート体制。/輸入通会社紹介資料より
日本営業担当、中国実務担当、専用Chatwork、月1回の定例ミーティングなどを組み合わせたサポート体制。/輸入通会社紹介資料より
検品動画の紹介。/輸入通公式インスタグラムより
検品動画の紹介。/輸入通公式インスタグラムより

09

自社検品だから、ブランドごとの対応ができる

外部の検品会社へ丸投げしない

キュウ セイ

個別対応ができる理由の一つは、検品を外部の会社へ丸投げしていないことです。検品は自社スタッフ、自社社員で行っています。

私もシジュウも日本で長く生活した経験があるので、日本のお客様が品質に対してどれくらい厳しいのか、どんな部分を気にするのかを理解しています。その感覚をもとに、自社の検品基準を作って運用しています。

キュウ シジュウ

同じ商品でも、お客様によって重視するところは違います。全員に同じ検品、同じ梱包をするだけでは、ブランドの差別化にはならない。だからブランドごとの要望に合わせて、できるだけ柔軟に対応できるようにしています。

キュウ セイ

私たちは「輸入代行会社」で終わりたいわけではありません。日常業務を一緒に支えるパートナーでありたいと思っています。

山田

そこは、実際に仕事をしていて伝わっています。一度この形で業務が回ると、簡単には外せない存在になりますね。

検品・商品調達の現場。/輸入通公式インスタグラムより
検品・商品調達の現場。/輸入通公式インスタグラムより
検品・商品調達の現場。/輸入通公式インスタグラムより
検品に関する情報は公式インスタグラムより
検品に関する情報は公式インスタグラムより

10

アパレルの次へ。インテリアとペットという可能性

家具・インテリアの市場も見に行く

山田

今後の仕入れ先として、インテリアも面白いと思っています。

キュウ セイ

私も次に中国へ戻る時、家具やインテリアの工場が集まる市場を見に行きたいと思っています。アパレルとは別の集積地があって、工場からどのくらいの条件で仕入れられるのか、どんなルートがあるのかを調査したい。新しい情報が分かったら共有します。

ペット用品は、無在庫販売と相性がいいのか

山田

もう一つ、最近考えているのがペット用品です。今、SNS支援をしているペット関連の会社があって、EC事業もできないかという話が出ています。

以前調べた時、無在庫のキャットタワーの専門ECがありました。3万円から5万円くらいの高単価商品もある。大きいので在庫や配送は難しいですが、逆に店舗では扱いにくいから通販との相性があるとも考えられます。

ペットウェアも高価格の商品があります。別の取引先では、一着1万円を超えるペットウェアを作って販売している。ペットにお金をかける方は多いので、無在庫販売で品揃えを広げられる可能性はあると思っています。

キュウ セイ

中国でもペット用品はかなり増えています。子どもの服より高いと感じるペット服もありますね。

キュウ シジュウ

工場側から見ると、ペット服は意外に作るのが複雑です。生地の量そのものより、型や縫製の工程にコストがかかる。犬種やサイズによって形も違いますから、単純に「小さい服だから安い」というわけではありません。

山田

なるほど。そう考えると、在庫を大量に持つより、多様なサイズやデザインをネットで見せて、必要な分だけ調達するモデルに向いている面もありそうです。

さらに、服や時計、カメラのように、中古・二次流通がある商品はECとの相性が良いとも感じます。買って終わりではなく、使った後に売り、また新しいものを買う。そういう循環があるカテゴリーは面白いですね。

11

杭州という街。シルクからEC、ライブコマースへ

「杭州って、どんな街ですか」

山田

最後に、杭州の話を聞きたいです。シジュウさんがいる杭州は、どんな街なんですか。

キュウ シジュウ

私たちの本社があるのは、上海にも比較的近い浙江省の杭州です。今の杭州を一言で説明するなら、ECの街という印象が強いです。Alibabaの拠点がありますし、淘宝や1688とも距離が近い。仕事上のコミュニケーションもしやすい環境です。

ライブコマースも盛んです。中国ではDouyin(※TikTokはDouyinの海外版)などを使ったライブ販売が大きくなっていて、通販を本格的に始めるインフルエンサーや関連会社が杭州に集まることがあります。EC、IT、ライブ販売の企業や人材が集積している感覚があります。

キュウ セイ

もともと杭州はシルクや服など、軽工業・ものづくりの街として有名でした。そこへAlibabaをはじめEC企業が成長して、若いIT人材が集まった。今はゲームやライブコマースなどデジタル産業も強い街になっています。

キュウ シジュウ

服の工場も多いです。大きな工場だけでなく、小ロットに対応できる工場もあります。周辺には雑貨や物流の大きな集積地もあるので、ものづくりとECと物流が近いんです。

山田

それは輸入通さんにとって大きいですね。システムやECの最新情報も入りやすいし、実際の製造現場にも行ける。

キュウ セイ

そうですね。杭州に会社があるメリットは、情報と現場の両方にアクセスしやすいことだと思います。

西湖でCHANELがショーを開いた

山田

杭州ではCHANELのファッションショーもありましたよね。世界的なブランドが杭州でイベントをするとなると、街のイメージも変わります。

キュウ シジュウ

そうですね。杭州は経済や製造だけではなく、西湖やお茶でも有名です。西湖周辺は街の雰囲気も落ち着いていて、上海とはまた違います。

キュウ セイ

西湖龍井という緑茶も有名です。

Alibabaの施設外観。
Alibabaの施設外観。
Alibabaの施設外観。
杭州の街並み。
杭州・西湖でのCHANELファッションショー。
杭州の街並み(左)と、杭州・西湖でのCHANELファッションショー(右)。

12

対談の先へ。AIと新しい協業

輸入通の「強み」を、もっと日本へ伝える

山田

今日話してみて、輸入通さんが発信できる材料はかなりあると改めて思いました。1688や淘宝とのシステム連携、自社検品、新しい仕入れ市場、個別対応。普段の仕事では当たり前になっていることでも、日本のEC事業者から見ると「そんなことまでできるのか」という情報がたくさんある。

そういう情報を、ニュースや記事として整理して発信していくことが重要だと思います。無在庫ECを運営する会社や、これから始めたい人が情報収集している場所へ、輸入通さんの強みをきちんと届ける。

AIが作業を進めても、アイデアは人が出す

山田

最近はAIエージェントをかなり業務に使っています。営業リストの整理やメール作成、サイトの確認など、以前なら人が一つずつやっていた作業を、AIに任せられる場面が増えました。

キュウ セイ

私ももっと勉強したいです。サイトやデザインや画像づくりの作業も、AIを使って進めることが増えています。

山田

作業自体はどんどんAIに任せられるようになると思います。ただ、何を伝えるか、何を新しくやるかというアイデアは、人が出さないといけない。

キュウ セイ

そうですね。アイデアはやっぱり人が考えないといけないと思います。

山田

今回の対談もそうです。システムの説明だけではなく、「CAXULを実際に運営して、どこで困り、何が良くなったのか」「杭州の現場では次に何が起きているのか」を話すことで、サービスの意味が初めて伝わる。

CAXULの運営と、輸入通さんの現地力。その両方をつないで、次のECの形を一緒に考えていければと思っています。しかしぜひ杭州にも行ってみたいですね!

キュウ セイ・キュウ シジュウ

ぜひいらしてください!(笑)

対談を終えて

在庫を持たないことは、何もしなくていいことではない。

商品を探し、売り方を考え、広告を運用し、注文後は確実に調達し、検品し、梱包し、届ける。その一つひとつの工程を、どこまで見える状態にし、改善し続けられるか。

CAXULと輸入通の対談から見えたのは、「無在庫」という言葉の軽さとは反対に、ECの裏側には非常に具体的な実務があるということだった。そして、その実務を整えるほど、次の課題は「もっと良い商品を、どこから見つけるか」へ移っていく。

1688や淘宝の画面から始まった中国仕入れが、杭州の市場、工場、デザイナー、APIへ広がっていく。その先で、CAXULのような日本のECがどんな商品と出会うのか。今回の対談は、その入口でもある。

PROFILE

求 倩(キュウ セイ)のトークアイコン

求 倩(キュウ セイ)

中国輸入通株式会社 China CFO

北海道・札幌在住。今回の対談では輸入通のサービス、今後の事業構想について語る。

来日17年。長年日本で生活しながら、OEMによる商品企画・製作や、中国からの家具のコンテナ輸入など、日中貿易に関わるさまざまな業務を経験。中国の製造・仕入れ現場と日本市場の双方に関わり、商品調達から輸入、販売に至るまでの実務経験を積んできた。

現在は中国輸入通株式会社のCFOとして、財務管理を中心に、新規顧客の開拓や日本国内の既存顧客との関係構築、中国側のサプライチェーンとの連携・維持を担当。

また、中国国内の優良メーカーや卸売市場とのネットワークを広げ、品質・価格・供給の安定性を重視した仕入れ先の開拓にも注力している。

さらに、従来の輸入代行サービスにとどまらず、OEM・ODMや新たな仕入れルートの開拓、時代の変化に合わせた新しい貿易モデルの企画・開発にも取り組んでいる。

日本と中国、それぞれの市場や商習慣への理解を活かし、両国の企業をつなぐ架け橋として、お客様の事業成長を長期的に支えることを目指している。

求思絨(キュウ シジュウ)のトークアイコン

求思絨(キュウ シジュウ)

中国輸入通株式会社 China CEO

中国・杭州本社勤務。今回の対談では、商品調達、現地市場、工場、システムなど中国側の実務について語る。

日本での5年間の留学経験を持ち、中国輸入代行会社の営業部門責任者、アリババでの日本企業の中国市場進出支援を経て、中国輸入代行事業を立ち上げる。輸入代行の現場とECプラットフォームの両方で培った経験を活かし、現在は輸入通の共同オーナーとして、日本のお客様の仕入れを支えている。

学生時代に日本へ留学し、5年間を過ごす。2019年の帰国後は、中国輸入代行会社に3年間勤務。営業部門の責任者として、お客様のニーズに合わせたサービスの改善やクレーム対応などを担当した。日々寄せられる要望や課題に向き合い、輸入代行サービスを提供する側として、顧客対応と業務改善の実務経験を積む。

その後、アリババの天猫国際(Tmall Global)のブランド部門へ転職。日本のブランド企業を対象に、中国の淘宝(タオバオ)や天猫国際への出店支援を行い、出店後のプロモーションにも携わる。日本のブランドが中国市場で認知度を高め、販売を拡大するための支援を担当した。

具体的には、小紅書(RED)を活用したプロモーション、抖音(中国版TikTok)でのライブ配信、淘宝内での広告・販促施策など、中国の主要なEC・SNSプラットフォームを通じた販売促進に従事。輸入代行会社での顧客対応に加え、ブランド企業の市場進出から出店後の販促まで、日中間のビジネスを異なる立場から経験してきた。

こうした経験を重ねるなかで、中国から日本への輸出ビジネスに、より大きな魅力を感じるようになる。2022年、友人から声をかけられたこともきっかけとなり、中国輸入代行事業を立ち上げる。

現在は、輸入代行会社で培った顧客ニーズへの対応力と、アリババで得たEC・ブランド支援の経験を活かし、輸入通のサービス改善に取り組んでいる。日本のお客様が中国の商品をよりスムーズに仕入れられるよう、利用する側の視点を大切にしながら、日々の対応とサービスの充実を進めている。

山田英之のトークアイコン

山田英之

株式会社カレント 代表取締役

アパレルEC「CAXUL」を運営。2024年から無在庫販売モデルでサイト運営、広告、販売を行い、輸入通と商品調達・検品・物流面で連携している。

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